木造長屋計画

既存建築ストックの活用事例:空き長屋から障がい者ショートステイへの用途変更 

■建築概要
法規確認:matomato 松田孝平 走川礼奈
所在地:愛知県名古屋市南区
計画種別:用途変更
用途:住宅から福祉施設へ変更
竣工年:2021年4月
専有面積:120㎡

■長屋が生まれ変わる
この2軒長屋には長年老夫婦が借りて住んでいたが、施設に移り無人となった。築年が長く、費用をかけてリフォームしても借りる人が居ないだろうということで、大家が知り合いの事業者に、内部をいじっても良いことを条件に低額で現状貸しすることとなった。事業者はここで障がい者を対象としたショートステイ事業をスタートさせる。

■既存ストックの活用と用途変更についての法規改正
世帯数の伸び悩みに対し住宅数が上回り、現在は住宅ストックとしての空き家が問題視されるようになってきている。
住宅のストックの活用が望まれる中、建築基準法が改正され、新しい使い方へのハードルが大幅に下がった。
特に住宅のような小規模建築物の用途変更についての規制緩和が大きな柱となっている。
例えば以前は100㎡以上の住宅から飲食店など、不特定多数の人が利用する施設への変更には用途変更の建築確認申請が必要だった。
申請には構造や防火など、現在の基準法への適合が求められ、古い住宅などでは事実上不可能であった。
今回の改正では申請が必要な面積が100㎡から200㎡へと緩和された。戸建て住宅の9割は200㎡以下であることから、既存住宅ストック活用が期待されている。

■福祉と建築家との関わり
上記の法改正により、100㎡以下の用途変更に係る確認申請の必要が無くなりハードルが下がったが福祉施設への用途変えの場合、建築士のチェックが必要となった。
 採光や排煙など、基準法上の適合チェックが目的であるが、本来は建築士に依頼する予定のなかったような小規模の福祉施設や福祉事業者が建築士と出会うきっかけとなるのではないかと考える。
 そこから利用者やスタッフの働く空間への理解に繋がればと考える。